急激なスロットル操作に追従出来るように、燃料の量を調節する機構が必要です。
加速補正機能
単に、スロットル操作に応じて、負圧ピストンを上げる機構がついただけです。
スロットル動作に連動する黄色のバーに押されて、紫色のバーが上に押し上げられます。
紫色のバーは、その後負圧ピストンと連動したバーと接触し、ピストンを強制的に引き上げます。
注記
わかりやすいように簡略化した図で書いていますので、実際の構造ではこのようになっています。
グリップを回すと、スロットルバルブを駆動するプーリーが回ります(青矢印)
すると、横に着いているリンクが赤矢印の方向に動き、このレバーが回される事で強制的に負圧ピストンを引き上げる構造になっています。
スロットル操作をゆっくり行った場合、負圧ピストンは負圧によって引き上げられて、スロットル動作に対して追従する形で上がって行きます。
従って、図の上にあるギャップは隙間を保ったまま上がることとなるので何も動作しません。
急激なスロットル操作をした場合、負圧ピストンはまだ上がりきっていませんので、ギャップが詰まり、負圧ピストンを強制的に引き上げることになります。
そうすると、ルードルバルブにつられてガソリンも持ち上げられることで、一時的に空燃比が濃くなります。
図の上がゆっくりスロットル操作を行った場合。ニードルが引き上げられるにつれて燃料が乾き、結局はポートからのみ燃料が出てきます。
図の下が急速にスロットル操作を行った場合です。ニードルについたガソリンと、ポートから吹き出るガソリンが混じり合い、大量の燃料を供給できています。
しかし、これは一時的であり、しばらくすると上の図のように一定量の燃料を供給する状態に戻ります。
一時的に燃料を供給してやるのが「加速補正」なのです。
このキャブレターの特性
燃料供給量は既に一定化されているので、アクセル操作速度に対する燃料供給量の遅れ具合をグラフにしてみました。
縦軸が供給する燃料の量、横軸がスロットル開度、青い線が理想の供給量で、赤い線が実際の供給量です。
通常の状態であれば、スロットル操作に対して、燃料、空気の供給量が立ち遅れています。
負圧ピストンを引き上げられることで、ピストンと共にガソリンが引き上げられて、供給量が確保されます。
部分的に燃料の増量するために、ニードル部に切欠きをいれることで、ガソリンの持ち上げ量を増やすことが可能です。
これにより、スロットル操作に対して燃料の増量が可能で俊敏な対応が可能となります。
進化
負圧ピストンを直接、スロットルワイヤーで操作すれば、後段にあるスロットルバルブが不要になります。
通常
「ピストンスライドバルブ式」と呼ばれる物がそれです。
また、これから先は
インジェクション方式も主流になりつつあります。