チョーク機構



エンジン始動時には、キャブレターやエンジン自体が冷えているため、なかなかガソリンが気化しまん。
また、エンジン内部も冷えているため、ガソリンを燃やしても温度が上がらず、なかなか自分で回るようになってくれません。
そのため、一時的に燃調を濃くしてエンジンにガソリンを送り込む機構がチョーク機構です。

初期的なキャブレター用のチョーク機構です。


キャブレターの前に、一部欠損したスロットバルブと同じバルブを設けて、空気の流れを絞っています。「choke:息を止める、息が詰まる、むせる」がその由来です。
中央に小さな穴が開いたスライドバルブを使用するタイプもありますし、
別経路を通して、濃い燃料を供給するタイプもあります。

どうして空燃比が濃くなる?

チョークレバーを引くと、バルブが閉じて空気の吸入を制限します。
すると、キャブレター内部は気圧が下がります。
フロート室にある空気室へと続く穴は、チョークバルブの前にありますので、そこからは大気圧と同じ圧が来ます。
負圧に引かれるようにガソリンが吸い出され、いつもより多くのガソリンがエンジンへと流れ込みます。
ガソリンが大気圧に押されて吹き出し、燃調が濃くなります。
ただし、吸気すればするほど、回転が上がれば上がるほど燃料を多く吸い出すため、どうしてもカブりやすくなります。
コツさえ掴めばそう難なく始動できますが、失敗するとなかなかエンジンを始動できない厄介な特性です。

特徴

他のチョーク機構と比べて、機構がいくぶん複雑なものの、調整の必要がないため比較的安価に製造出来ます。

始動のコツ

基本的にはチョークを外気温で引く量を調節します。大抵は4段階でコントロールします。
夏場などでは1/4〜1/2ぐらい引いて始動させます。夏場でも4/4引かないと始動しない寝起きの悪いエンジンもあります。大抵は点火系が弱いのが原因ですが。
冬場では4/4が基本です。
アクセルを閉じたまま、キックまたはセルを回します。
通常はこれで初爆があり始動します。始動後は少しの間、放置してエンジンを温めます。
セルの場合、回す時間は一回に付き3秒以内にし、始動しなければ10秒休んでから再び3秒というふうにましょう。

運悪く、始動できなかった場合、一度マフラーの出口付近でガソリンの臭いがするか確認します。
もし、ガソリン臭い臭いがしなければ、燃料が供給されていません。 ガソリン臭がする時は、一度チョークを戻して始動を試みます。戻さずにすると燃料が入りすぎ、プラグが濡れてしまってますます始動困難になります。

また、点火系の強化は、始動性に大きく現れます。
始動が困難なものは点火系の強化をおすすめします。またCDI方式の場合、バッテリーが弱っていると始動困難になる場合が多いようです。
どうも、セルが回転するときCDIに供給できる電力が足りなくなるのが原因のようです。

キャブレターに加速ポンプが装備されている場合、スロットルを素早く3〜4回開いて、キャブレター内に燃料を強制的に送り込み、チョークを引かずに始動する方法もあります。
極寒時の始動には、チョークとこれを併用して始動させる方法も使われます。

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