駆動抵抗



走行時に加わる車を止めようと働く力を表したグラフです。

縦軸に抵抗力(kg)、横軸に車速です。

車を止めようとする力としては、摩擦力、空気抵抗、路面の傾斜等があります。
これらを総合して、何kgの抵抗になっているかを表したのがこのグラフです。
数字上の「%」表示は、傾斜で、10%だと1m進んで10cm上がるような上り坂です。
角度にして、約6°です。大抵、高速道路の入り口のスロープは6〜7%程度です。
風は無風で計算されています。

実際は車速0から始まっていますが、厳密に言うと、このようなグラフになります。

動き始める直前は、駆動抵抗が高くなります。車を手で押すとき、すごい力が必要ですか、一度動きだすとそれほど強い力が必要ではなりません。
 スタート時に半クラッチをする必要があるのは、このような特性があるためです。


余談ですが、自動車の速度計の読みは180km/h(軽自動車は現在では100km/hですが、当時は80km/h)です。法定速度が100km/hなのに、どうしてそこまでメーターの読みが必要かと思われた方がいると思います。
その理由が、この駆動抵抗のグラフに隠されているのです。

昭和44年、東名高速道路が開通した時、豊川IC〜音羽蒲郡IC間が最大の登り傾斜になっていました。
当時の車は性能が低く、この登り坂で減速を余儀なくされていました。
 そこで、法律上法定速度が100km/hと決まっていましたので、この区間も法定速度で走れるよう、車の性能を上げるべく一種の目標として最悪の条件でも法廷速度を維持することを掲げました。
当時記録されていた台風の最大風速がである風速20m/sの向かい風の中、定員(4名)を乗せてこの区間を100km/hで登るだけの性能をもった車は、平地で無風時、1名乗車時には走行曲線図より180km/hの速度をだせるだけの性能が必要とされました。
 もちろん、当時のエンジンの性能、タイヤ、空力上のでの計算値なので、現在の車より大馬力でないと180km/hをだすことができませんでした。
 現在であれば、テストコースでの速度測定には機器を取り付けてその機器で車の速度を測定していましたが、当時はそのような機材はありませんから、実際車についている速度計を便りに車の最高速をテストしていました。
そのため、速度を調べる為には必要とされる速度である180km/hの目盛りが必要だったと言われています。
それが現在まで慣習として残っているのです。
 それだけではありません。メーカーは車を生産する時点で、走行安定性等のテストをしないといけません。
180km/hという一つの上限を決めることで、それ以上の速度域でのテストを省けるわけですから、それだけテストにかける費用を抑えることができます。
万が一、問題が起きても「リミッター以上の超過」という一つの逃げ道ができているわけです。
実際、そんな速度で走ることなんて、まずありませんし。

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