摩擦材



一時は、アスベスト(石綿)が使われていました。適度な制動力があり、耐熱性も高く、ローターの攻撃性も低いという良いことづくめの材質でした。
しかし、この粉塵は非常に細かな針状の物質になり、それが空中に漂い、人間の肺の中にまで入ってきます。
石綿は安定した物質なので身体にはなんら影響は無いのですが、免疫機構はそれを「異物」として扱い、排除しようと毒素(活性酸素)を石綿にぶつけます。
先ほども述べたように、石綿は安定した物質なので、その毒素でも分解されないので長期にわたって免疫細胞は毒素を放出しつづけます。すると、その周辺の細胞が変異を起こし中皮腫となりやがては癌化してしまいます。
 そのような理由でアスベストが使用禁止になってしまいました。
一説によると、排出されるアスベストの量が極めて少なく、それを使用したところで健康被害はまず起きないといわれていますが、製造過程上での飛散が問題となり製造しないようです。
そこで、アスベストに代わる物質として、さまざまなものが使われるようになりました。

摩擦材として

メタル系

アスベストが使われているころから金属を使用する方法がありました。アルミや銅といった比較的延性の高く、安価な金属を使用します。
低温状態から高い制動力を発揮し、制動力の立ち上がりが鋭く、ガツンと効く感じです。
しかし、中温では制動力が低く、またローターへの攻撃性が高いのが問題です。
通常、トライアルやトレッキング等の使い方で使用されています。

有機アラミド繊維系

ケブラー等の材質を使用します。比較的低温から使用でき、中温まで安定した制動力を発揮します。
ローターへの攻撃性も低く、通常のバッドには多く使用されています。
ただし、単体では制動力が低いので、他の物質と併用して使用されます。
ノンアス系の主力品です。

無機繊維系

ロックウール(石綿ではない)やガラス繊維を使用した摩擦材です。中温から高温まで使用されます。
ローターへの攻撃性も低く、通常のバッドには多く使用されています。
ただし、単体では制動力が低いので、他の物質と併用して使用されます。

カーボン系

炭素粉末で摩擦材として使用されています。高温下ではそれ自体が潤滑材としても作用します。
カーボンファイバーにして、バッドの自体の結合材として使用することもありますが、かなりの高温(最低150℃)にならないと十分な制動力を発揮しないため、主にレース用に割り切って使用しているようです。
価格もすんごく、一般には使用されません。

まとめ

上で上げた材質は、単体もしくは組み合わせて使用されます。
例えば、セミメタリック系のバッド材は、金属の初期制動と、アラミド繊維系を混ぜてコントローラブルで制動力のつよいブレーキバッドとして作られます。
何をどれぐらいの分量配合するかでパッドの性能が変わります。

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