負圧ピストン方式



グラフ上での落ち込みを解消するためには、空気の流れが遅くても十分なベンチュリー効果を上げないといけません。
効果を出すには、キャブレター部の絞りを小さくして、流速を早めないといけません。
しかし、絞ってしまうと空気の流れが悪くなり、フルスロットル時には十分な空気が送り込めません。
そこで可動式のベンチュリーを作り、吸入する空気量に合わせて、可変させることで実現しています。

負圧ピストン搭載のキャブレター


上部に負圧で上下するピストンを設置し、負圧によってベンチュリーの幅が変化するようになっています。


アイドリング時やスロットルオブ時には、バネの力により、ベンチュリー部が閉じています。



スロットルを開き、負圧が発生すると、A室の気圧が下がり、B室の大気圧に押されて、ピストンが持ち上がります。
バネの力と、負圧の発生量が釣り合った場所で、ベンチュリー部が適切な流速を保ったまま静止します。
C部のポートの穴経の大きさにより、ピストンの反応速度が変わります。
穴が大きく、空気が出入りしやすいとスロットル操作に対して、ピストンが素早く反応し、直ぐに適切な流量を保てます。
しかし、動きが速すぎて、ピストンが必要以上に大きく動いてベンチュリー部が広がりすぎて流速が落ち込み、燃料の供給量が減ったり、閉じたときに必要以上に閉じてしまい、空気が足りなくてエンストしたりします。

大抵はキャブレターのをそのバイクに合わせてセッティングしている為、適切な穴径になっています。
これを大きくすると、スロットルに機敏に反応する反面、エンジンが不安定になり、小さくするともっさりしたエンジンになります。
この部分は通常固定された大きさで、調節は出来ません。
また、大きすぎるとエンジンの吸気脈動で異常振動し、正しく動作しなくなります。
しかし、穴を大きくし、外にオイルダンバーを装着し、そのオイルの粘度で負圧ピストンを動きを調節するタイプのキャブレターもあります。
そういうタイプの場合は中に入れるオイルの粘度で調整します。

このキャブレターの特性

最適化されて、中間部の落ち込みがなくなりました・・・が

燃料の供給量が多すぎ!。
流速が速くなっているので、燃料が過剰に吸い出されています。

メインジェットを絞っても、このありさま。

とても実用的なキャブレターではありません。

進化

このキャブレターではとても使用に耐えれません。
何かしらの方法で、中間時の燃料供給量を可変するバルブのようなものが必要となります。
そこで、この負圧ピストンにニードルを取り付け、この針で燃料供給パイプを開閉することで燃料供給量を調節します。
これを「ニードルジェット」といいます。

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