バッテリーはどこまで再生できるか?



3年もてば良いほう。
製造日をよむと、今から6年前のバッテリー。
夏場ではバッテリーが活性化しているため、始動可能ですが、おそらく今年の冬には確実にダウンする模様。
バッテリーに付属しているインジゲーター(比重計)では正常値を表示してはいるものの、比重計で測定すると、1.220とイエローゾーン。
簡易負荷テストを行うと、無負荷で12.44V、ライトonで11.73v。電圧降下が0.71v。消費電力がおおよそ、10Aぐらいなので、内部抵抗は0.071。 まだまだ正常値の範囲ですが、さすがにバッテリーの左右が膨らんできているところをみると不安になります。
膨らむ原因はエンジンの熱。
エンジンルームにバッテリーが有る場合、その熱による影響を受けて樹脂が変形しこのようにふくらみます。
熱害は深刻で、内部にも影響を及ぼします。
バッテリーは出来るだけ涼しいほうが良く、理想的にはエンジンルームよりトランクや座席の下などのほうが良いのですが、そこまで高電流のケーブルを引っ張りまわしたり、バッテリーから出るガス等の影響もありなかなかそうもいきません。
せめては冷風の入る車の前のほう、またはエンジンルームか隔壁で隔てられた場所に置かれている方が、長持ちするようです。
キャブオーバ車のような、放熱性の悪い箇所にバッテリーを置かれると最悪で、開放型で通勤に使うと1年持たない車種もありました。
熱害を受けないよう、断熱材などで保護するのも寿命を延ばす方法のひとつです。
他にもある原因。
熱以外の劣化の原因として、振動、深放電があります。
走行中の振動により、電極が砕けてしまい、放電能力が低下してしまう状態です。
物理的な破損の為、添加剤等で回復も見込めず、交換しか方法はありません。
深放電は、バッテリーの電気を使いすぎると、おきる劣化です。
バッテリーは満充電された状態であるほうが安定しており、長持ちします。
ところが、使った状態で保存すると、電解液である硫酸が鉛を侵し、表面に膜を張ってしまい電気が起きなくなってしまいます。
この状態を、サルフレーションといいます。
販売している添加剤はほとんどがサルフレーション対策品。
有機ゲルマニウム、 希硫酸 鉛と結合し、電解液中の減った希硫酸を補う為、わずかに添加されています。濃度があがれば電極を腐食させる為できるならば添加したくないものです。電解液がこぼれた場合は必要ですが。
その他、ナイショの添加剤
今回は、振動による電極の破壊対策です
電極が割れたものは、もう再生できません。
しかし、割れた破片等がセパレーター内でショートしたり、破片同士が引っ付いて小さな電池となり、無駄に電気を消費したりと悪さをします。
これを除去してバッテリーの延命ができないかというのが今回の実験です。
まず、バッテリー液を別の容器に全て移し替えます。
中身は希硫酸なのでとても危険です。素手で触らずゴム手袋を使います。
容器の底を見るとなにやら茶色い粉末状のものが沈殿しています。これは陽極の電極が剥がれ落ちたもので、これを除去するとすこしは良くなるのではないかというのが今回の実験。
バッテリーの底を見ても、同じような茶色い粉末が残っています。これを水道水で洗い流します。
洗い終えた水には希硫酸が含まれている為、そのままでは下水に流せません。
必ず廃液処理を行ってから捨ててください。"
次は充電
そのままでは面白くないので、ACアダプタで充電してみました。
用意したのはラジコン自動車用の充電器。
ac_adapter.jpg(22621 byte)
スペックをよむと、18V-0.6A取り出せる様です。
実際、無負荷で測定すると、25.77v出ていました。十分なスペックです。
バッテリーの充電には最低13v以上、30v以下ぐらいあれば充電できます。
補充電なら十分なスペックですが、今回実験に使ったバッテリは比重1.1からの充電ですので、ほぼ空っぽの状態からの充電のため、ACアダプタにはかなり厳しい条件でした。
通常のバッテリー充電器では無負荷では16〜18v程度の所を25vですから、ほぼ急速充電と同じぐらいの電圧。


直接接続してもいいのですが、モニターしながら充電しないとなにがおきるかわからないので・・・。

充電開始前の電圧は12.05v。接続すると、電流計は1.5Aを表示。完全にオーバースペックでACアダプタが鳴いています。
適当な抵抗がなかったので、電球をいくつかつけて、0.51Aぐらいまで落として、充電します。
本当はスライダックのような可変抵抗があればいいんですが、そういうのを買うことがきるならば、普通ちゃんとした充電器を買うと思いますし。
適当な車用のランプを抵抗器として点灯させ、0.5A程度で充電させていました。

が、24時間経過しても比重が上がらず、あまりにも時間がかかり過ぎる!。計算上では100時間、まる4日以上かかります。
そこで、無理を承知で、無抵抗で直接充電させてやりました。 結果は2時間後ぐらいにACアダプタの外部温度で60℃を越え、内部の安全装置が働いて、ACアダプタから電圧が出なくなりました。

以前、バイクの充電を行うのに、ACアダプタを使用しましたが、これは問題なく充電できました。
が、さすがに車の充電、しかも空っぽのバッテリーの充電には無理がありました。
バッテリー自体、最低でも1.5A程度の充電電流を要求していますので、今回のような充電では「無理」という結果です。
なら、どれぐらいなら大丈夫?
今回使用したスペックのACアダプタであれば、なんとかエンジンがスタートできるほどのバッテリー上がり程度であれば充電は可能でしょう。
ただし、出力電圧が高い為、電流計、または電圧計で様子を見ながらの充電をしたほうが良いでしょう。
電圧が14vの出力のACアダプタであれば、そのまま何時間でも放置してもバッテリーは大丈夫です。
ただし、ACアダプタがもつかどうかその限りではありませんが・・・。
車内でエンジンを止めてカーオーディを使ってしまったとか、最近近距離ばかり乗っているとかいう時などに使える程度でしょう。
本命?スイッチング電源
通常、バッテリー充電器はトランスを利用して、AC100vをDC12vに落として使用しています。
電流を取り出す為に、トランスはかなり大きく、大人の握りこぶし二つほどの大きさで、電流も連続1〜2A程度です。
スイッチング電源は、トランスをもっとも効率よく動かす電子回路を組み込んで、同じ電流でも小型高効率で必要とする電圧を取り出せます。
用意したのが、出力12vのスイッチング電源。この大きさで4A連続出力が可能です。 価格も倍以上しますし、トランスのように、短時間なら数十アンペア取り出すといった裏技は出来ませんが、指定した電圧をきっちり取り出せます。
充電器としてはむだにオーバースペックです。
通常、スイッチング電源は12v仕様では12v、高くても12.5vまでです。充電するには電圧が、バッテリー電圧より低いので充電できません。
そこで、スイッチング電源には出力電圧調整用のトリマが備わっており、これである程度の電圧調整が可能です。
変更幅は、8〜15vぐらいですので、目一杯電圧が高くなるほうに回して使用する事になります。
スイッチング電源の実力は
急速充電なみに、接続直後からすごい泡が出ます。
危ないので、キャップは外しておきました。補充電やACアダプタでの充電ではキャップを開けるほどのガスは出ませんが、さすがに4Aも流れていると厳しいです.
ちなみに、スイッチング電源は電流制御も行っている為、4A以上流れる状態では、それ以上流れないようにブレーキがかかる仕組みになっています。
あまりにも流れすぎる場合(電圧が低下するほどの状況下)では電流を止めます。止まった場合、電気が流れなくなりますが、電源を切りしばらく置くと復活します。
トランスの場合、電流が流れすぎると電圧が低下するので充電が遅くなりますが、スイッチング電源は最初から全速で充電してくれます。
充電が進むにつれ、バッテリーの電圧も上がってきて電流が減ってきます。
電流が0.2A程度まで下がれば充電完了です。
結局バッテリーは使えたの?
充電は出来ましたが、容量はかなり減っており自動車を始動することは叶いませんでした。
また、自己放電も早く1週間ほどで空っぽになります。
バッテリーから茶色い破片を取り出すとき、十分洗ったつもりですがどこかに引っかかって再生するどころか止めを刺してしまいました。
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