空燃比について



空燃比は一般的には14.7:1が理想などと言われます。その辺について、少しまったりと。

空燃比とは

空燃比は、空気と燃料の重量差を表し、理想空燃比では燃料が1g完全に燃えるとき、空気が14.7g必要だという意味です。
ガソリンには200〜300種類ほどの成分が含まれており、厳密には特定ができませんが、おおよその主成分として、ブタンやパラフィン、オルフィン、ナフティン等が含まれています。
化学式や分子式は他のHP等で調べてみてください。

 その原子の数をガソリンの成分で平均してみるとおおよそ、炭素原子が16個、水素が24個程度になります。
原子の周期表で調べてみると、炭素の1molの重量が、12g、水素が1gになります。
よって、ガソリン1molの重量は、12g×16個+1g×24個で、216gになります。
これらを全て酸素と結合すると考えると、炭素1に対して酸素2個で二酸化炭素に。水素2個に対して酸素1個で水になり、必要な酸素原子の量は、16*2=32個と、24/2=12個。合わせて44個の酸素が必要です。
問題は、空気自体には他の成分もあり、その大部分は窒素です。窒素が78%、酸素が20%程度です。 窒素が80%あると単純に考えて、44個の酸素に対して窒素が、4倍の176個あると考えられますので、窒素の重量が1mol当り14gてす。
44個×16gと176個×14gでg、合わせて3,168gとなります。
先程計算したガソリン1molの重量が、216gなので、重量比は3,168/216で約1:14.6となります。

まぁ、概算で計算してますので誤差はありますが、理想的な燃焼では14.7ぐらいです。
計算値とかなり近い数値になったと思います。つまり、これはガソリンが全て水と二酸化炭素になったと考えられる値です。
実際のエンジンでは燃焼時間は一瞬ですので、全部が燃えず、一部は燃料のまま、HC(ハイドロカーボン)となり,また一部はCO(一酸化炭素)になります。
また、酸素の一部は窒素と結合し、NOxになります。

これが排ガスの成分と、空燃比を表したグラフです。

左に行くほど燃料が濃く、右に行く穂と薄くなります。
空燃比が12ぐらいが最も出力が高く、パワー空燃比とも言われます。
網部の範囲、14〜16の範囲がλウインドウと呼ばれ、排ガスが最もクリーンな範囲です。
環境性能の高いエンジンほとこの間で運行されています。
ただし、燃焼温度が高く、最もNOxの排出量が多い範囲でもあります。

NOxは後につづく触媒で処理されます。通常、エンジンは回転が一定ではないので、燃料が濃くなったり薄くなったりを繰り返しています。
CO発生量が多いときに触媒で捕獲し、NOxと排出量が増えたときにこのco反応させて無害な窒素n2と二酸化炭素co2に戻すのが酸化触媒の働きです。
 某高性能クリーン車ではアイドリング中も時折濃い燃料を噴射して、coを発生し、NOxが連続的に処理できるように設計されたものもあります。

空燃比がうすいとアブナイ!?

空燃比がリーン(燃料が少なくなる)になると、よくエンジンが壊れると耳にします。
しかし、バイクで全開走行中にガス欠になった事はありませんか?。あわててコックをリザーブに切り換えた事でしょう。
そのとき、エンジンは壊れましたか?
何事も無く、エンジンは回り続けそのまま走り続けることができたでしょう。

 一般的に、空燃比は、高負荷時には8ぐらいの燃料冷却モードに入っています。
これは必要以上に燃料を供給し、その燃料が気化するのに奪う熱量で一時的に空気の温度を下げ、ノッキングを抑える手法です。
この状態から空燃比が薄くなって、パワー空燃比や理論空燃比に入ってしまうと、より多くのパワーが出ますが、同時に激しいノッキングを起こすためにブローしてしまいます。
これが「空燃比が薄くてブローした」状態です。
さらに薄くなると燃焼温度が下がってしまい、パワーが出なくなり速度が落ちて行くだけです。
丁度これが、ガス欠の状態です。
同じように、ECUでコントロールされたエンジンの場合も、リミッターが働くと燃料を供給を止めてしまいます。
丁度ガス欠と同じ状態にすることで、リミットを設けています。

つまり、燃調が薄くて壊れるのは、パワー空燃比や理論空燃比に入ってしまい、それが一定時間継続することで壊れてしまうもので、単に薄くなると壊れるものではありません。
燃料カットが働いたときに、パワー空燃比や理論空燃比の領域を通過しますが、ほとんど一瞬で通りすぎる為にエンジンには問題は起きません。

 通常、インジェクション方式で無い限り負荷に応じた燃料供給量を決めることは出来ません。
そのため、キャブレターでは安全をとって少し濃いめの空燃比をチョイスします。
元々排気量が小さい上、バイクはフィーリングを楽しむ乗り物なので。
 でもこれからはバイクもエミッションを無視して語ることは出来なくなってきます。
インジェクションが主流になって行くか、ハイブリッドや電気バイクの時代になって行くのでしょうね。

戻る